わたし達は自分の「才能」や「特技」を勘違いして苦しんでいる - ぱりことば。−島根県の漫画家カウンセラーのブログ−

自分にそなわっている
才能や能力が何なのか、
自分が本当に
得意なことは何なのか、
正確に認識していないために
苦労している人が多い気がする。

かく言うわたしもそうだった。

＊　＊　＊

上の画像は、
今回試験的に制作してみた
「F0張りキャンバスと
アクリル絵の具で描いた
妄想漫画」だ。
(まだ完成前)

アクリル絵の具のため
非常〜〜〜〜〜〜に
描きづらかったけど、
意外とうまくいった
気がしている。

そして最近思うことがある。
わたしは
「イラスト」は苦手だが
「漫画」は得意なんじゃないか、
ということだ。

＊　＊　＊

「好きなことを仕事に」
しようとして
失敗する人の多くは、
自分にそなわっている
才能や能力を勘違いしていたり、
自分が本当に得意なことを
正確に認識していないことが
問題なんじゃないかと思う。

たとえばケーキが好きで好きで
たまらない人が、
パティシエになろうと努力する。
あまりにも厳しい世界で
途中であきらめてしまう。

しかしその人が本当に
好きなことが
「ケーキを作ること」ではなく
「ケーキを食べること」だとしたら。
その人が持っている能力が
「ケーキの魅力を上手に
紹介すること」だとしたら。

目指すべきなのは
パティシエではなく
スイーツ記事のライターだ。

そういう「ズレ」で
抱えなくてもいい苦しみを
抱えている人が、
沢山いるような気がしてならない。

＊　＊　＊

そしてわたしはずっと
「絵(イラスト)」が
好きだと思っていた。

でもわたしは
独創的なイラストとか
魅力的な1枚絵とかを描くのが
猛烈に苦手だった。

だから「才能がない」と思って
イラストレーターを一度
諦めたのだ。

イラストレーターになれたのは、
自分が得意なのが
「ちびキャラ」や
「動物イラスト」だと
気づいたからだ。

で、今、さらに気づいたのが
「わたしはキャラクターを
表現すること」が
得意なんじゃないか、
ということ。

それが
「イラスト」は苦手だが
「漫画」は得意なんじゃないか、
に通ずる。

「漫画を描こう」
と思えば、
そのキャラクターの魅力を
引き出すためのネタが
どんどん浮かぶのだ。

某イラスト会社でも
「絵は普通だけど
漫画の構成はうまいね」
と言われたし。笑

ふつうの1枚絵だと
キャラクターの魅力を
引き出すとか
構成を工夫するとかが
ものすごくできない。
最近はフワッと
構図が“降りて”
くるようにはなったが、
世界観とかキャラクターとかは
やっぱり表現しきれて
いないと思う。

しかし、あらかじめ
決められたシナリオを
渡されれば、1枚絵でも
「キャラクター」を
表現することができる。

要するに「挿絵」だ。

わたしは「イラスト」が
得意なんじゃない。

「漫画を描くこと」と、
「挿絵を描くこと」が
得意なのだ。

「いや結局、ぜんぶ絵じゃん」
と思われるかもしれないが、
わたしの中では明確に差がある。

たとえば写真家さんでも
「人物を撮るのが得意な人」
「風景を撮るのが得意な人」
「動物を撮るのが得意な人」
がいるだろう。

それを「結局ぜんぶ写真じゃん」
というのはあんまりじゃないか。

猫写真で有名な
岩合光昭さんに向かって
「写真お得意なら
ウェディング写真も
お願いできますか？」
とは言えないだろう。
(もしかしたら岩合さんは
ウェディング写真も綺麗に
撮れるかもしれないけど……)

＊　＊　＊

とにかく、自分の
「才能」や「得意」を
正確に認識できていない人は
本当に多い。

何なら当たり前にできすぎて
それが才能や特技だと
気づいてすらいない人もいる。
もったいない。

わたしは「才能」や
「得意なこと」を
一つも持っていない人間は
いないと思っている。

絵が上手いとか
歌が上手いとか
足が速いとか
芸術系・運動系の
能力や特技は
わかりやすいけど、
そういうのじゃない
「才能」や「特技」が
この世には山ほどある。

そもそも芸術系・運動系だって
細分化されるのだ。
わたしのように
「独創的な絵を描く才能はない」
のに、
「ちびキャラや漫画や
挿絵が得意」というだけで
仕事が手に入る人間も
いるのだから。

いや、そもそもわたしが
一番得意なことは
「ちびキャラや漫画や
挿絵を描くこと」ですらなく、
「堂々と発信すること」
なのかもしれない。
だから仕事に繋がるだけかも。

とにかく自分の能力なんてのは
正確に認識するのが難しい。

「自分には何もない」
なんて言って
せっかくの能力を
埋もれさせないで欲しい。

何もないのではなくて、
「正確に認識できていない」
だけなのだから。

ごきげんよう、さようなら。