2020年6月26日(金)から
スタジオジブリ過去4作品が
全国372館の劇場で
再上映されています。
昨日23年ぶりに映画館で
「もののけ姫」を観てきました。
改めて観た感想、調べて知ったことや
自分なりの考察を書いていこうと
思います。
めちゃくちゃネタバレしています。
「まだ『もののけ姫』観たことない」
「これを機に映画館で観たい」
という方は、今すぐこの画面を閉じて、
映画館へ観に行ってください。
もしくはチケット予約して!
再上映期間が終わった後に
このブログを観ている方は、
もうブルーレイとかDVDとかでも
いいから観てください。
↓
※上記は北米版ですが日本語でも観られるそうです。
物語が面白いので
家のTVで観るのももちろんいいけど、
やっぱり映画館で観られるうちは
映画館で観た方が絶対にいいと思います。個人的には。
今回「もののけ姫」を選んだ理由
ジブリ再上映のニュースを知り、
わたしの周囲では
「風の谷のナウシカ」を
観に行った方が多いようなのですが、
わたしは4作品内で一番思い入れが
深いのは「もののけ姫」でした。
1997年公開当時、13歳。
(公開日が誕生日の直前なので、
観に行った時は14歳だったかも)
家族と観に行き、友人とも観に行きました。
中学生のおこづかいなんて
たかが知れているはずなのに、
なぜ2回も観に行ったのか。
ただその時「2回観ても面白かった」と
思っていた記憶があります。
だからもう一度観たかったんです、劇場で。
中学生の自分を思い出すために。
映画を観終わった直後に流した、悔し涙
観終わった後まず思ったのは、
「アシタカ最高だな〜〜〜〜〜〜」
でした。最高に格好いい。
カヤにもらった守り刀をあっさり
他の女(サン)にあげちゃうけど、
いつも真っ直ぐに生きていて、
他人のせいにしない、
自分の信じる道だけを生きる。
スタッフロールを眺めながら、
「でもこんな男、アニメの中
だけにしかいないよな」
と思った瞬間、謎に号泣しました。
中学生のわたしは
そんなことを思っていただろうか。
いつか自分もこんな男性に
出会えるかも知れない、
と思っていなかったか。
いやむしろ、自分がアシタカのように
なりたいと思っていなかったか。
なんで世の中にはこういう男がいないんだ。
いつも他人のせいにして、
自分の不遇を恨んでばかりで何もしない。
自分の信じる道を真っ直ぐに生きる
男なんかどこにいるのか。
仮にいても、そう見せかけた卑怯な男ばかりだ。
この作品を観た男なんて死ぬほどいるだろうに、
なぜアシタカのように生きようと思わないのか。
ブワ〜〜〜〜〜〜〜〜って
怒りが出た後、
「でも自分だってそんな風に生きられていないな」
と思って、なんか悔しくなりました。
どうして現実では真っ直ぐに、
自分の信じた道を生きられないのか。
作中でエボシが
アシタカの「曇りなき眼(まなこ)」って
セリフを聞いた時に、
高笑いを上げているんですよね。
あれは“大人”の正しい反応だし、
わたしはどちらかというと
エボシ寄りかも知れない。
アシタカはまだ青年だから、若いから、
真っ直ぐいられるだけかも知れない。
ゴンザ(エボシの側近)にだって
甲六(トキの夫)にだって、
アシタカのような時代があったかも知れない。
アシタカが真っ直ぐなのは、17歳だからなのか。
だとしてもやっぱり、アシタカは格好いい。
ファンタジーの中だけの
キャラクターでもいい。
そう思いました。
異質の存在・アシタカ
当時のジブリ映画としては、
アシタカって異質な存在の
主人公なんですよね。
(最近のジブリ映画を見ていないから
わからないけど、ジブリ映画全体で
見ても異質なのかもしれない)
戦闘・身体能力が高くて、
正義感があって、真面目で真っ直ぐで、
人や動物に対して愛情があるっていう。
(その割にはザコ武士は平気で殺すけど……)
身体能力が高くて真っ直ぐで……
っていうと、
「天空の城ラピュタ」のパズーとか、
「魔女の宅急便」のトンボとかも
そうなんですけど、
彼らには“コミカルさ”があるんですよ。
好きな女の子を笑わそうと
しちゃう感じというか。
アシタカにはそれがない。
ただひたすらずっと真っ直ぐ。
時代設定もあるかもしれないけど。
そうじゃないと
「そなたは美しい」とか言えないでしょ。笑
作中で
「あいつは結局どっちの味方なんだ」
って言われちゃう通り、
アシタカはずっと誰かの味方になったり
どちらか一方についたりは
しないんですよね。
ただその時、自分がしたいことをする。
サンを助けたい時は、
サンを助けるために走る。
タタラ場の危機を
エボシに伝えたい時は、
伝えに走る。ただそれだけ。
冒頭、サンとエボシの戦闘シーンで
二人とも気絶させちゃう所とかも
まさにそんな感じで。
エボシのやり方にはモヤモヤするけど、
彼女のおかげで救われている人がいる。
だけどサンも死なせたくない。
サンを助けたらタタラ場には
いられないので去るしかないけど、
別にサンの絶対的な味方になる訳じゃない。
「何も選ばない」という
卑怯さでもあるかもしれないけど、
「どちらの言い分も守りたい」
という姿勢、わたしは好きです。
だからずっとアシタカは
人間と森(山)が共存できないか、
と言ってきたんですよね。
ところでわたしはタタラ場から出る時の
「だんな、いけねえ、死んじまう!」
ってセリフが好きです。
アシタカの右腕の呪い(タタリ)
先ほども書いたように、
アシタカは結構ザコ侍なら
ポンポンと殺しちゃうんですけど、
アシタカの右腕に宿った呪い(タタリ)の
せいもあるのかなと思いました。
大体あのくらいの年の青年が
どれだけ弓の名手だとしても、
腕や首を一発でポーンと
落とせる訳ないんじゃないかと。
ゴンザの薙刀を素手で曲げたり、
10人掛かりで開ける扉を開けたり、
「タタリ神の呪いは、どうやら
怪力にする力があるようだ」
という描写がありますよね。
また、エボシに向かって
右腕が勝手に刀を抜こうとする
描写もあります。
“本人が殺すつもりがなくても
右腕に宿った呪いのせいで
殺してしまう”ということも
あるのかな、と思いました。
そうじゃないと、心やさしい青年が
平気でポンポン人殺してる描写が
どうもしっくりこなくて……。
とはいえ戦が普通に
起きている時代なので、
いくら心やさしき青年だと言っても
自分を殺そうとしてくる人間には
冷徹になれるのかな、とも思いますが。
そういえば腹を石火矢で撃たれた後、
しばらく普通に動いてるのも
呪いの力のお陰なんですよね。
タタリ神になりかけの
乙事主(おっことぬし)が
瀕死の重傷を受けているのに、
いきなり元気に走り出したりしちゃうんで。
モロの君の声が美輪明宏さんであることの最高さ
公開当時から思っていたけど、
モロの君の声が美輪明宏さんって
最高じゃないですか?
神様ってけっこう
「男か女かわかんない」
みたいな存在がいて、
モロもわりと男でも女でもない
感じの神様だと思うんですね。
サンに「母さん」と呼ばれてはいるけど。
しかし“つがい”の男性神がいないから、
モロもずっと父親的な役割と
母親的な役割を担って
きたんじゃないかなぁと。
片親の家庭ってそうなりがちじゃ
ないかなと思うんですが、
うちの母親も父親的であったり
母親的であったりするんですよね。
そういうキャラクターを
演じる声優として
美輪明宏さんが抜擢されたのは
改めてよかったな、と思いました。
あと今回観た後に知ったんですが、
裏設定ではモロと乙事主が
実は過去にいい仲だったそうで。
※もののけ姫はこうして生まれたに収録
わたし結構、モロがなんでそんなに
乙事主を大目に見るのか
不思議だったんですよ。
自分の守っている山で
勝手に戦争始めようとして、
しかも言っていることが頭悪いし、
(他の猪にくらべたらまだいいけど)
何でモロはもっと怒ったり
軽蔑したりしないの? って。
同じ動物の神として
「その怒りもわかる」
って感じだからかなあ、と勝手に
解釈してたんですが、
「実は過去にいい仲だった」と知って
「ああ……」と思いました。
まあ、人によるんですが、
過去に愛した男を
大目に見てしまう気持ち、
なんとなくわかるなあと。
バカだし愚直だし
「そういう所が嫌いで別れたんだわ」
と思うんだけど、同時に
「仕方ないわね」
とも思っちゃうというか。
もう全然好きでも何でもないんだけど、
母性ってやつでしょうか。
しかしタタリ神と化した乙事主に
サンが取り込まれそうに
なっている時は、
「言葉まで忘れてしまったのか」
と一瞬憐れみを見せるけど、
そういうの抜きにしてシンプルに
“母親”になるんですよね。
「私の娘を返せ」と。
あのシーンめちゃくちゃ好きです。
カヤの守り刀についての考察
冒頭にも書いたのですが、
どう考えてもアシタカに
恋心を持っているカヤがくれた
守り刀を他の女にあげちゃうの、
これだけが唯一アシタカを
「ひどい」と思う点なんですよね。笑
で、今回改めて観て、
「いや、兄(アニ)様って呼んでるし、
本当は兄弟愛的なやつなのでは……?」
とわずかな期待を持ったのですが、
一緒に観たパートナーに言ったら
「いやあれは恋愛でしょ」
と言われて。やっぱそうだよなあと。
じゃあアシタカ側が
カヤを“妹”としてしか
見ていなかったのか?
アシタカは自分に向けられた恋心に
気づかないくらい鈍感だったのでは?
とも思ったんですが、
これも調べてみると、
また、未婚の女性が守り刀を男性に渡すという行為は、『粉河寺縁起』にもみられるように求婚の証であり、カヤが決して戻ってくることのないアシタカに守り刀を渡すという行為は、カヤが一生未婚のまま人生を全うすることを暗示しているとする指摘がある。
Wikipedia「もののけ姫」#エミシの村
だそうで……。
あくまで映画分析本で
言われた指摘であり、
公式(宮崎駿監督)の
発言ではないですけどね。
(しかし宮崎監督本人は
「カヤはアシタカの嫁さんになる
つもりだった」と言っている)
「守り刀を渡すのは求婚の証」という
風習が村に根付いているのであれば、
村長(むらおさ)になる予定だった
アシタカが当然そのことを
知らないはずはないわけで。
で、そうなってくると、
「求婚の証」として
渡された守り刀を
サンに渡すというのは、
「お守りになるように」
という願いだけでなく、
アシタカからサンへの
「求婚の証」でも
あったのではないかな、と。
ラストシーンの絵コンテに
「サン アシタカの
プロポーズに答えている」
というメモ書きがあるように、
(参考:宮崎監督が語った『もののけ姫』サンとアシタカのその後)
アシタカはサンと「共に生きたい」
求婚の意思があるんですよね。
まあでもやっぱり他の女から
もらったもんを渡すなよ……
と思わんでもないですが、
他にあげられる綺麗なもの
(しかもお守りにもなる)がなかったし、
現代みたいにSNSで写真を
拡散されるわけでもないので(笑)。
そういう所がアシタカの
「真っ直ぐすぎる所」の描写でも
あるのかな、と思います。
ヤックルがずっとかわいい
冒頭、タタリ神が初めて出てきて
恐怖ですくんで動けなくなる所から、
もうず〜〜〜〜っと最後まで
ヤックルかわいすぎませんか?
サンに手綱を外されて
自由に生きていい、と
言われたにもかかわらず、
ず〜〜〜〜〜っと側で
アシタカの目覚めを
待っているヤックル。
アシタカが眠っている間、
サンにアシタカのことを
必死でおしゃべりするヤックル。
(描写はないけど、きっと
そうだったんだろう。可愛い)
いなか侍に後ろ足を
矢で射られて、
「ここで待ってろ、必ず戻る」
とアシタカに言われているのに、
足を引きずって
ついて行こうとするヤックル。
(その後あきらめて、
手綱を持って連れて行っちゃう
アシタカの描写も可愛い)
気づいたらモロの子供と
仲良くなっており、
鼻先を合わせるヤックル。
あの後アシタカは
モロの子と一緒に行動して、
ヤックルは村の男たちと
残るのを選ぶから、
あの鼻先を合わせた時に
アシタカを任せたのかな……
と思っちゃう。
モロの子もヤックルに託されたから、
「遅い、乗れ!」があったのかな……。
それまでサンを乗せることしかなく、
人間嫌いだったモロの子が
アシタカを背に乗せるあのシーンが
めっちゃ好きなんですけど、
ヤックルが「よろしくね」って
したお陰でやったと考えたら
めっちゃ妄想がはかどる。
ごはん3杯いける。
知らない間に影響を受けていたのだと思ったこと
三つ子の魂百までというか、
13〜14歳のわたしが
「もののけ姫」を観て、
知らない間にこういう所で
影響を受けていたのか……
と思ったことが沢山あったので、
リストアップしてみます。
◎ジコ坊の声優・小林薫
→その後、小林薫主演ドラマ
「深夜食堂」に猛烈にハマる。
その結果、自分も「めしや」という
飲食店をやることになる。
◎サンの赤いメイク
→ボディペイントにハマり、
自分の顔に赤い模様を描く。
また、イラストの面でも
「顔に模様を描く」のが好きになる。
◎真っ白な山犬、サンの赤いメイク
→顔に赤い隈取をした真っ白な狼が
主人公のゲーム「大神」にどハマりする。
我が家の守り神として
巨大ぬいぐるみなどを購入。
◎タタラ場
→たたら製鉄が盛んだった地、奥出雲に移住。
※作中のたたらのモデルは
雲南市吉田にある菅谷たたらと
言われているので、
わたしが住んでいる仁多郡とは
ちょっと違うんですが……。
まあ、雲南市も仁多郡も
「奥出雲地方」なので。
◎舞台のモデルといわれている
白神山地(青森県)、屋久島(鹿児島県)
→謎にずっと屋久島に行きたかったが、
もののけ姫のせいだったんだと気づいた。
白神山地はすでに行ったし、
何なら青森に短期間住んでいる。
◎舞台は中世の日本
→和物が好き。着物が好き。
和製の武器が好き。
高校生くらいの時に見たものが
その後の人生や創作などに
影響を与えることはあるだろう、
とは思っていたけど、
「もののけ姫」は普通に
中学生時代のいち思い出として
とらえていたので、
「めっっっっちゃ影響
受けてるじゃん!!!!!」
と驚愕しました。
特にわたしは
「もともとネコ好きなのに、
どうしてオオカミだけが
昔から好きだったんだろう?」
と思っていたので、
謎が解けてよかったです。笑
映画館で観て、何が良かったのか
正直「もののけ姫」は
劇場で2回観ただけでなく
その後もVHSやDVDや
金曜ロードショーとかで
何回も観ているんですよね。
だから「もう内容を知っているもの」を
わざわざ映画館で観るのは
どうなのか? と、
ちょっとだけ迷いました。
ただ、後述するように
「子ども時代の自分と
同じ体験をもう一度したい」
という気持ちがあったし、
いざ観てみたら
「あの映像とあの音楽は
映画館の巨大スクリーンと
音響で感じた方がいい」
と思いました。
特にわたしは子どもの頃
「もののけ姫」のサントラを
むさぼるように聴いていたので、
「あの曲だ! あの曲だ!」と、
ものすごく盛り上がれました。
やっぱり久石譲さんの曲はすごいよ。
キャラクターの表情やしぐさ、
声優さんたちの演技をより感じることも
できたと思います。
わたしはアシタカが
玉のような汗を流して
苦しんでいるシーンが全体的に好き。
とにかく色んな意味で最高だった
志村けんさんが亡くなった時に
「コロナ、まじでクソ」
と思ったんですが、
今回23年ぶりに映画館で
「もののけ姫」が観られたのは、
コロナ禍のおかげだとすると、
なんとも複雑な気持ちです。
もちろんスタジオジブリが
「この4作品を公開しよう」と
踏み切ったおかげが
一番大きいですが……。
わたしはアーティスト・デートの記事にも
書いているように、
・子ども時代を思い出すこと
・子どもの自分を喜ばせるような
遊びをすること
が今一番大事だと思っていて、
中学生の自分と同じ体験を
もう一度できたことは
本当に嬉しく、
貴重な体験だったと
改めて思います。
子どもの頃に映画館で
ナウシカを観た人なども
同じ体験をしているのでしょう。
こんな奇跡が自分の人生で
起きるのだな、と思いました。
本当にありがとうございました。
36年(もうすぐ37年)生きていて良かった。
いつまで上映が続くのかは
わかりませんが、
「もう物語知ってるのに
わざわざ映画館で観るのも……
でもなあ……」
と悩んでいる方、
悩んでいるくらいなら本当に
行った方がいいと思います。
昨日の興奮が冷めやらないので
めちゃくちゃ長文の
記事になりましたが、
ここまで読んでくださった方、
本当にありがとうございます。
色々あるけど、やっぱりアシタカが
最高だったな〜〜〜〜〜〜!
ヤックルも大好き!
ごきげんよう、さようなら。
※上の画像はAmazonに飛びます
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