人間は「自分は他の人と違う悩みや苦しみを持っているのだから、多少の迷惑行為はしてもいい」と思ってしまう生き物だ

こんな話ねー、本当は
したくないですよ。
でもそうじゃん？
私もそうでしたよ。

境界性パーソナリティ障害が
一番ひどかった時期も、
25歳の時に父親が病気で倒れて
一人であらゆる手続きや後始末を
しなきゃいけなかった時も、
ずっとそうでした。

＊　＊　＊

いや、誰彼かまわず
迷惑行為をしていた
訳じゃないですよ。
むしろ、自分としては
「かなり周囲に
気を遣っている」
と思っていました。

なので、めちゃくちゃ
気を遣っていた
ところもあったんです。

しかしなんか、
自分の親とか、
当時の恋人とか、
二度と会わないだろう人
(お父さんの口座がある
銀行のおじさんとか)に、
私は嫌な態度を
取っていました。

「あなた達の持っていない
苦しみを持っているんだから、
私は大変なんだから、
このくらいいいでしょ」
と心のどこかで思っていたのです。

ぐうう……思い出すと死にてえ……
(死なないけど……生きるけど……)

しかし何でそんな
特権意識を持っていたかというと、
うーん……なんかもう……
頑張りすぎて疲れてたんじゃ
ないですかね……。
(それで許される訳じゃないけど……)

「こんな自分じゃダメ」
っていうのは誰かに言われんくても
自分でずっと分かってて、
汚名を雪(すす)ぐために
必死に頑張ってたんですよね……。

「頑張るのそっちじゃなかろうに」
っていうことでいっぱい
頑張っていた気もするけど、
当時の自分はそれで精一杯だったし、
必死だったんすよねえ……。

＊　＊　＊

よく、いろんな人から
「どうやって境界性パーソナリティ
障害を治せたんですか？」
って聞かれるんですけども。

いろいろ治せた理由はありますが、
そのひとつは
「自分の特権意識に気づいた」
ってのも絶対にあると思います。

「私は特別な苦悩を背負って
生まれてきた特別な人間だから、
多少の失礼は許される」
って思ってたんですよ。
ああ、すげー恥ずかしい。
思い出すと死にたい。死なないけど。
(大事なことなので二回言いました)

でもほんと、「恥ずかしい自分」に
気付けるかどうかって、大事ですよ。
めちゃめちゃ、苦しいけど。
ものすごく胸が痛くなるけど。

「自分は他の人と違う
悩みや苦しみを
持っているのだから、
多少の迷惑行為はしてもいい」
なんて、認めたくないじゃないですか。
もっと良い人間に、
もっとマシな人間に
なりたいじゃないですか。

でも人間って、
そういう生き物なんですよ。

だから、しかたない。
しかたなくないけど、
しかたないんです。

人間性が特別にクソな人が
そう思う訳じゃなくって、
別に一見何の問題もなさそうな
「みんな」とか「普通の人」と
呼ばれる人だって、そうなります。

「私は今大変なんだから
いいでしょ！」って。

(何をもって「普通」か
って話なんですが……。
過去の私を含め、
精神的に苦しむ人は
「みんな」「普通の人」
という言い方をよくするので、
そういう表記をしました)

「そんな自分、ダメ」と
思っていたり、
もうそもそも目をそらして
気づかないようにしていると
ぜんぜん心が良くなりません。

まずは「意識する」
「気付ける」ように
なることが大事です。